大童法慧 | カレー南蛮
何かを得ようとするのではなく 何かを捨ててみよう
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11月 14日 カレー南蛮

父親の13回忌のご法事。
当時大学生のお嬢さんも、この秋に嫁がれました。
そのお嬢さんが、実は、、、と教えてくれたお話です。

 

 

あの日のお昼。
病室ではなく共有スペースで、母と出前を取りました。
近くのお蕎麦屋さんのカレー南蛮。
食べ始めた頃。
看護師さんが走ってきました。「看取りの時間が近づいてきました」、と。
慌てた私たちはカレー南蛮と箸を持ったまま、父の病室へと駆けつけました。父のベッドの周りには、お医者さんと看護師さんとカレー南蛮を持つ私たち。
間もなく父は息を引き取りました。
その時、強く思いました。
「なぜこのタイミングに亡くなるのよ」って。
「カレー南蛮を持ったままじゃ泣けないわよ」って。

 

今だからこそ話せますがと笑う彼女の横で、お母様が言葉をつなぎました。
「だから、うちでは毎年、主人の祥月命日にはカレー南蛮をお供えすることにしてるのよ」
「きっと、パパも喜んでいるわよね、最期の最後にカレー南蛮なんだから」

 

改めて学びました。
自分の身体であっても死の時間を選ぶことができないものだ、と。
そして、お二人に応えました。「今日のお昼は久しぶりにカレー南蛮にします」

 

 

 

 

 


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