大童法慧 | 彼岸到
何かを得ようとするのではなく 何かを捨ててみよう
大童法慧,曹洞宗,僧侶,祈祷,相談,生き方,悩み
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9月 19日 彼岸到

彼岸には、
布施   <分け合う事>
持戒   <慎む事>
忍辱   <忍ぶ事>
精進   <努力する事>
禅定   <心を静める事>
智慧   <学ぶ事>
を実践していくことによって、迷いのこの岸から悟りの彼の岸に渡るという意味があります。
けれども禅では、もっと深く彼岸を受けとめます。
それは、迷いと思っているこの岸こそが、悟りの彼の岸でもあるのだよ、という事であります。
つまり、遠くの彼の岸を見て、足元を忘れちゃいけないよ、というのです。
この岸、つまり、「今・ここ」を大切にする歩みを深めることで、この岸も彼の岸もないというへだてのない世界、つまり、ひとつながりの世界に気付く、それが禅であります。
たとえば、私たちには夢や目標があります。その夢や目標に向かって計画を立てて実行していく。夢が叶えば、当然嬉しい。
けれども、挫折や失敗することもあります。そんな時、私たちは言い訳をしたり、人のせいにしたりする癖が出てしまいがちです。
でも実は、夢に向かって歩いているその歩みこそが、夢の達成であり、夢が叶ったその瞬間と同じくらい大切なはずなのです。そう言える視点、ものの見方が禅なのであります。
遠くの結果を見つめるのではなく、今・ここの足元を大切にする歩み。
そこに必ず、穏やかな心持ちと生きる勇気が現れてきます。
彼の岸と此の岸は離れていない。ひとつながりであります。
ここをしっかりと受け止めて、互いに歩みを深めてまいりましょう。


※ 『明珠』 大本山總持寺出版室発刊 平成24年 秋彼岸号 に掲載


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