大童法慧 | 空寂
何かを得ようとするのではなく 何かを捨ててみよう
大童法慧,曹洞宗,僧侶,祈祷,相談,生き方,悩み
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6月 16日 空寂

切手盆や袱紗を使って、お布施を渡す人を見る事が少なくなりました。
半紙に包んだり、不祝儀の袋に入れたりもせず、裸のまま渡す事も珍しくないようです。なかには、財布から直接支払う人もいるようです。
そのうち、カードで24回払いで、という時代がくるかもしれませんね。
お布施もVISAやJCBでって、ね。
まぁ、固いことは言いなさんな、どうせ、すぐに開けて、袋は捨てるんでしょ、とのご指摘もありますが・・・
ひと手間かけて渡そうとする気持ちこそが、尊いと思うのですが。
時が至るまでは、そのお気持ちとともに、ご本尊様にお供えしておくものだと、お師匠様から厳しく教えられたものです。
葬儀社からの依頼のお布施は、5割、葬儀社に戻す。
残りの5割から、2割は僧侶派遣業の会への支払いとなる。
ひどい葬儀社の社員は、喪主に「信士・信女のランクのお布施は35万ですよ」と囁き、そこから10万円は自分のポケットに。
で、25万で派遣会社に仕事を流す。
HPには、価格破壊だ、明瞭価格だと宣伝しても、実は・・・?
檀家の少ないお寺や寺構えのない僧侶には、出会いのチャンスではあるのですが・・・
お師匠様の話です。
「財法二施 功徳無量 檀波羅蜜 具足円満 乃至 法界平等利益」
お布施をいただくと、必ず、お唱えになられます。
そして、「・・・お預かりいたします」とおっしゃられます。
ある時、午前中に法事を終えた施主が、夕方、慌ててお寺に駆け込まれました。
聞けば、お布施を入れ忘れたとの事でした。
老師にお会いしてお詫びし、改めて、お布施をお渡ししたいので取り次いで欲しいとの旨。
老師 「さきほど、いただきましたよ」
施主 「いえ、何度も確認しましたが、やはり、入れ忘れてしまいました。
どうぞ、お受け取りください」
老師 「いいえ、いただきましたから・・・」
施主 「でも・・・・」
老師 「あなたのお気持ちは、しっかりと頂戴いたしましたから・・・
ご心配しなくて結構ですよ」
施主 「・・・ありがとうございます」
案外、お布施の入れ忘れはよくある話でして、この話を、ある賢いお坊さんにしたところ・・・
「もし、お布施が入ってなければ、すぐに、連絡するさ。
だって、そんな事を許したら、寺院の経済が成り立たなくなるだろ。
それにさ、教えてあげるのが布教だし、貰ってあげるのが布施でしょ。」
そりゃさ、そうだけどさ・・・
私は、賢くないので・・・やっぱり、言えねえな・・・
「あのぅ、お布施が入っておりません」


MEMO
1、等三輪空寂   三輪・・・施す者・受ける者・施物。
2、頼山陽が書家の貫名菘翁を訪問した時の話。
山陽が訪問した時、菘翁は台所で魚屋と交渉していた。
その声が、座敷で主の菘翁が現れるのを待っている山陽の所まで、聞こえてくる。
なかなか交渉はまとまらず、菘翁はついに、「この鯛は、古いからまけておけ」と、言った。
これを聞いた山陽は、憮然として席を立ち、菘翁との交際を絶った。
・・・生きのいい鯛を食おうと、大根の尻尾を食おうと、書いた字の生きには関係あるまい。しかし、「古いからまけておけ」というけちくさい根性は、書いた文字の品性、墨気そのままに反映するであろう。
書道にはそこが大事なのである。

大森曹玄老師 『書と禅』


10 個のコメントがあります
  • ひろみつ
    Posted at 11:12h, 16 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: f3c483acb35df62be31a398cd96892f6
    >ひと手間かけて渡そうとする気持ちこそが、尊いと思うのですが。
    同感です。ひと手間かける、その気持ちが尊いし、ひいてはそれが信仰とか文化だと思うのですが・・・・・。
    お布施の入れ忘れのお話は・・・う~ん、どうなんでしょうね(笑)僕も、その立場なら言えないかもしれませんね。

  • Posted at 22:03h, 16 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    書で喩えて言うならば、墨気を眼目とする生き方をしたいものですね。

  • NOOM
    Posted at 23:47h, 17 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 0aa037863c4c086d018919d17cefa018
    ひと手間 かけるように心がけています。
    いろいろ 選んでいると
    結構 これが キレイな封筒も
    発見したりして
    「へぇ~こんなのがあるんだ^^」と
    楽しかったりも。
    神社でも お賽銭箱への
    ちゃりん・・・の小銭は
    止めました。
    たった1枚の 封筒で…
    手渡す時に 会話ができたり
    心が通うことがあるからです。
    中身の確認は 
    手渡す側が 十分にしなければ
    なりませんね^^;

  • こげ
    Posted at 23:48h, 17 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    『憮然として席を立ち、~との交際を絶っ』てしまいたい状況で決めかねている雇われ人ですw
    なんてタイミングでそんなお話ですの!とドッキリしましたw
    「墨気を眼目とする生き方をし」ていると見なされるか堪え性のない馬鹿と見なされるかwその後の如何で…と思う小心者です。

  • Posted at 03:56h, 18 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    わかる人にはわかるもの。

  • Posted at 03:58h, 18 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    わからぬ人には、わからぬもの。
    ・・・凝り固まらぬ大きな心で、ありたいですね。

  • ボス
    Posted at 17:09h, 19 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    御香典を入れ忘れたなんてのは弊社の担当する葬儀でもよくあることです。その場合、会計の手伝いの方より弊社(葬儀社)にすぐに言ってもらいます。私共はすぐにその方を探しその旨をお話し解決します。その場に既にいない場合はお帰りになるであろう時間にお電話をし、「先ほど御香典の整理をしていたものですが・・・」と話し始めその旨を伝えます。この場合殆んどの方がドキッとするようですね。でも「明日お持ちします」とか、今すぐ行きます」とか申し訳ない気持ち一杯でお話されます。
    こんな風に間に入れる状況があればお互い気まずくはならないで済みますが。。。
    でも、その話って本当に入っていたのですか?なんかオチがありそうな展開だったので。
    ちなみに私は白木位牌をお寺に届ける時小風呂敷に包んでいます。

  • 風月
    Posted at 13:19h, 21 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    いろいろ御用があるそうですね。ご法身お大事にして下さい。
    実は昨日道を歩いていましたら、一人の男性に声をかけられました。出された名刺をみますと「仏教パートナー」と書いてありました。
    お葬式の斡旋業だそうです。葬儀社と僧侶の間をとりもつ職業だそうではじめてそのような業種のあることを知り驚きました。
    こちらにお邪魔して、なるほどと納得がいきました。

  • Posted at 10:56h, 23 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    オチは、ございません。

  • Posted at 10:58h, 23 6月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    昨日まで、近くにおりました。
    機を得て、お会いできればと思っております。

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