大童法慧 | 情緒
何かを得ようとするのではなく 何かを捨ててみよう
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1月 13日 情緒

わが名をよびて
わが名をよびてたまはれ
いとけなき日のよび名もて わが名をよびてたまはれ
あはれ いまひとたび わがいとけなき日の名をよびてたまはれ
風のふく日のとほくより わが名をよびてたまはれ
庭のかたへに茶の花のさきのこる日の
ちらちらと雪のふる日のとほくより わが名をよびてたまはれ
よびてたまはれ
わが名をよびてたまはれ
三好達治 『花筐』
・・・この詩は、私を出家に導いてくれた尼僧様に教えて頂きました。

ちいさい母のうた
サトウ ハチロー
ちいさい ちいさい人でした
ほんとに ちいさい母でした
それより ちいさいボクでした
おっぱいのんでる ボクでした
かいぐり かいぐり とっとのめ
おつむてんてん いないないバァ
きれいな声の人でした
よく歌をうたう 母でした
まねをしてうてう ボクでした
片言まじりの ボクでした
ああ アニィローリー マイボニィ
それから ねんねんようおころりよう
羊によくにた人でした
やさしい目をした 母でした
ころころこぶたの ボクでした
おはなをならす ボクでした
すぐにおぼえた 午後三時
おちょうだいする くいしんぼう
毎晩祈る人でした
静かに つぶやく母でした
寝た振りしているボクでした
なんだか悲しい ボクでした
春はうるんだ お月さま
秋は まばたきしてる星
影絵を切りぬく人でした
うつしてみせる母でした
お手手をたたくボクでした
何度も せがむボクでした
外はこまかい 粉の雪
影絵のきそうな白い路
夜なべをしている人でした
よくつぎをあててる母でした
ときどきのぞく ボクでした
よくにらまれる ボクでした
こおろぎ みみずく 甘酒屋
遠い チャルメラ おいなりさーん
話のじょうずな人でした
たくさん知ってる母でした
ソエカヤ? というボクでした
なかなか寝ない ボクでした
エクトロ・マロー アンデルセン
かちかち山に かぐや姫
ああ
思い出の中
その中で
こっちをむいている ちいさい人
ちいさい母
ああ 思い出の中
その中で
なお 甘えている ちいさいボク
ちいさいボク
ちいさい
ちいさい
むかしの
むかしの
むかしのボク
ちいさい…………ボク
ちいさい…………むかしのボク
・・・小学生の頃、素読という事で、覚えさせられた詩です。
大人となり、別れを体験すると、響いてきます。


6 個のコメントがあります
  • remains
    Posted at 11:56h, 13 1月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
     敬愛すべき母でした。
     今もって自分の小ささを思い知らされます。
     ありがとう。
     

  • petite aya
    Posted at 06:56h, 16 1月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 8b4a3b7860a4ad7a9e5223b8e9123d4a
    卒園式の後、お昼寝から目を覚ましたら、母は居ませんでした。
    理由あって、仕方なく出て行ったのですが、我々子供たちは、淋しかったけど一度も恨んだことがありませんでした。
    きっと、彼女がたくさんの手作りを与えてくれたからだと思います。
    年々、詩に述べられているような記憶を、良く思い出します。
    今では普通に会っていますが、子供として、彼女の私達に対する後ろめたい気持ちを、取ってあげることが出来ないのが辛いです。

  • 法慧
    Posted at 16:09h, 17 1月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    環境や状況、そして、心境で、同じ詩でも響いてくるものが、異なりますよね。
    そして、声に出してゆっくりと読むと、また、共鳴が深まります。

  • 法慧
    Posted at 16:13h, 17 1月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    色んなものを抱えながら、暮らしている我々です。大きな懐を持って、生きていきたいものです。
    大切なものは、大事にしないとね。

  • julia
    Posted at 00:28h, 18 1月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 2f211f050441a645cec472a241b3bedf
    3月満月の晩、母は旅立ちました。
    母の詩はまだ声に出すことが出来ません。
    母の詩はまだ歌うことが出来ません。
    泣かずに読むことも、泣かずに歌うこともまだ出来ないからです。
    時がたつほどに、あなたに逢いたくなります。
    この頃は、あなたに聞きたいことがたくさんあります。
    「お母さん、こんなときどうすればいい?」
    東風寂爾絶紅塵
    皓月玲瓏只摂真
    (中略)
    如何指陳

    誰知枯木寒巌裏
    已有華藏劫外春
    中野東禅師が母の為に書いて下さった七言絶句です。

  • 法慧
    Posted at 07:34h, 19 1月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    届いてますよ、その思い。
    花は咲き誇り、鳥が囀る、劫外の春の世界ですから。

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