先日、ご法事の依頼がありました。
この方は、お檀家ではなく、グリーフワークの会でご縁ができた方です。
ご主人様の7回忌ということで、某民間霊園でお勤めしました。
ご法事を終えての設斎での話。
施主「お持ち込み料という事で、霊園から壱万円を請求されました」
拙僧「何を持ち込んだんですか?」
施主「法慧さんの事ですよ」
お持ち込み料って?、
施主が、縁のある僧侶に法事を依頼をし、その僧侶を霊園に<持ち込み>する料金の事。
僧侶の同行料もしくは入山料の名目で請求される。
壱万円の価格設定が多いようです。
因みに、お塔婆にも持ち込み料が発生します。お塔婆1本につき、千円。
霊園が紹介する僧侶には、当然、持ち込み料はかからないけど・・・
霊園によっては、僧侶の紹介手数料として壱万円を請求される、と聞く。
持ち込んでも壱万円、紹介されても壱万円。
でも、壱万円あれば・・・?
8月 04日 直葬
直葬<ちょくそう>という言葉を知っていますか?
産地直送の事では、ありません。
お通夜も葬儀も告別式もせずに、直接、火葬場でお別れするスタイルの事。
死亡した病院や自宅から、火葬場へ直行。
直葬の直は、直接の直なのか、直行の直なのかは、直情径行の直なのか・・・不勉強のためわかりません。
火葬の際に、炉前でのお経を頼む人もある。
10分程度のお経で5万円が相場。別途、交通費やお膳料も請求。
もちろん、ご紹介のお坊さんは薄情で、収骨まで一緒にいてくれない。
直葬の直は、お坊さんの直行直帰の直、お布施を貰えば直ぐに帰るの直、なのかもしれませんね。
この直葬が増えている傾向にあるらしい。
故人に家族や身よりがいないからという理由だけでなく・・・
家族の絆の弱体化や地域社会との関係が希薄になった点。
この世限りの人生、俺様一人の人生という人生観の蔓延。
先祖観の変化、つまり、先祖は親か祖父母くらいまでという考え。
そして、菩提寺を持たない人の増加。
例えば、長期にわたる医療や介護にお金がかかり、葬儀をするお金が残っていない事情もある。
例えば、子供に迷惑をかけたくない、あるいは、お葬式に大切なお金を使うのなら可愛い孫に残してあげたい、と願う人情もある。
直葬の根源は、葬儀や僧侶に対する不信感。
マスコミは葬儀は金がかかるものと喧伝し、騙されたの体験談ばかり。
葬儀社は価格競争にはしり、お得感と感動を売り物にする。
坊主が勝手に付けた戒名は高額であり、その意味すら教えてくれない。
赤や黄のべべを着て、有り難くもない儀式以下のショーを見せつけられる。
そして、参列者が多くなればなるほど、損をするかのような錯覚・・・
本当は、手ぶらで焼香に来る人などいないのに。
そして、不信感は拒絶に変化した。
悪しき因習の踏襲は避けて然るべきだけれども、しかし、安易な選択は、後に、迷いを残す結果にもなる。
短絡的思考の持ち主は、案外、霊の指摘には弱く、程度の低い自称霊能者にたかられる。
現実に、意識の低い悪徳葬儀社だっている。
現実に、品も学も自戒も法力もない坊主だっている。
しかし、そのことを葬式の時に、はじめて気付いたとしたら、・・・お気の毒だけれども、それは、あなたの怠慢でしかない。
なぜなら、葬儀社の情報や評判は、たやすく手に入る。
僧侶の人品を知らないのは、日頃、お寺にいかない証拠。
現今の仏教は葬式仏教と揶揄されて久しい。
しかし、葬式仏教というのは、僧侶だけではなく、身内が死んだ時にだけ寺院に頼むという関係、平素は仏法に無関心な者をも批判している言葉。
人が亡くなると家族に負担をかける事は間違いないが、それが迷惑かどうかは、生前の家族関係次第。
人は、生まれる時も死ぬ時も、金はかかる。
葬儀に見栄は必要ない。
大切にしなければならない事は、潤いのある別れの時間。
「自分は直葬でいいよ」と、両親に言われたら・・・あなたは、どう答えますか?
5月 12日 方便
方便とは、 梵語ウパーヤ の漢訳。 近づく、 到達するの意。 巧みな方法を用いて衆生を導くこと、 真実の法に導くための仮のてだてとしての教え、 巧みな教化、 差別<しゃべつ>の事象を知って衆生を利益<りやく>する智慧などの意味があります。 方は正しい、便は手段という意から、方便。…
ご葬儀を終えて、設斎での事。 喪主:「本当にありがとうございました。 とても、素晴らしいお経で、家族も親戚も喜んでおります」 愚僧:「お経の意味がおわかりになられましたか?」 喪主:「はい、何にもわかりませんでした。 でも、そのお経の時間が、素晴らしかったです。」 愚僧:「?」 …
10月 11日 喪失感
別れの喪失感、特に、死ぬ事での別れは、何をもってしても、それを埋め合わす事は困難なことだ、と思うのです。 たとえ、世界中のお花を買い占めて、祭壇を飾ったとしても。 たとえ、世界中の線香を買い占めて、故人に手向けたとしても。 たとえ、何百人の僧侶を呼んで、葬儀を執り行ったとしても。…
本日、19時からお通夜です。 明日、13時よりご葬儀。 故人は、45歳の男性。 奥様が喪主となります。 中学生と高校生のお子さん二人がいます。 昨今、葬儀社のHPに、【感動のご葬儀を提供】とありますが、 一体、何を感動させるのでしょうか? 教えていただきたい。 死は、不条理なもの…
はじめてのご法事のこと、今でも、覚えてます。 得度して半年が過ぎた頃、老師よりお檀家さんの自宅に行き7回忌を勤めてくるよう、命じられました。 それまで何度か、老師や兄弟子についてお勤めをし、法事の順序次第やその心得も理解しておりました。 因みに、私は27歳の時に得度しました。 頭…
お布施という名の料金表。
以前勤めていたお寺にもありました。
「お気持ちで結構です」が通じない世の中だから、という理由でした。
今は、このシステムがあたりまえでしょうか?
檀家さんを、院号・居士大師・信士信女と3種にクラス分けをし、それぞれに応じたお布施の金額を定めてます。
例えば、このお寺のご法事のお値段。
院号が15万円。居士大師が8万円。信士信女が5万円。
ご法事の内容は、どのクラスでも全く同じです。
本尊上供、修証義1・2章、舎利礼文1辺、回向。
だいたい、20分ぐらいでしょうか。
住職の挨拶なし。もちろん、法話もなし。
控え室にてお茶はセルフでどうぞ。煎餅1枚のサービス付き。
墓前供養ご希望ならば、オプション料金を忘れずに加算しましょう。
お布施が、読経や供養のサービスに対しての対価なのか、という根本の問題はあるにせよ、料金表として提示したからには、そのコストパフォーマンスは問われて然るべきだと、私は思います。
ご法事の在り方、皆さんは何を望まれますか?