10月 03日 ひとりじゃない
この原稿は、大本山永平寺にて修行中に電話説法の原稿として、某老師にお渡ししたものです。
大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件の直後に、書いたものです。
児童八人を殺害、教師を含む十五人に重軽傷を負わせたとして殺人などの罪に問われた宅間守死刑囚の死刑が、昨年9月に執行されました。
あらためて、奪われた幼い命のご冥福をお祈り申しあげます。
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先日、たいへん悲しいニュースを耳にいたしました。
大阪の小学校でおきた事件のことです。
白昼、男が刃物を持って小学校に押し入り、児童や先生たちを傷つけ、亡くなった子供たちもいるとのこと。
子供たちや先生、そして、その御両親の心を思うと、いたましく、涙がこぼれてまいります。
亡くなった子供たちのご冥福を祈るとともに、傷ついた子供たちの一日も早い回復を願わずにはいられません。
切りつけたのは、30代の男だそうです。
なぜ、彼はこんなことをしたのでしょうか?
なぜ、彼の周囲の人たちは、未然に防げなかったのでしょうか?
そして、私たち宗教家が、こんな事が起こる前に、
なぜ、彼を救えなかったのでしょうか?
事件の詳しい真相は、まだわかりませんが、私は思うのです。
もし、彼に話を聞いてくれる人がいたら。
いや、彼に、自分は一人じゃないと思える力が身についていれば、身につけさせていれば、と。
人は孤独に弱いものです。
しかし、人は自分だけで、また、自分だけが、生きているのではなく、
周りのみんなと一緒に、周りのみんなに守られて生かされている真実。
そのことを、信じ、気付き、体現していく事。
この教えを、私たちは聞き、歩んでいかなければならないと思います。
あなたは、決して、一人じゃない。
もう一人の自分、それは、あなたのご両親やご先祖様、大自然の命。
本当の命。この事を忘れてはなりません。
平成13年6月9日
6月11日より一週間、電話説法として流す。
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