2月 12日 チェンダの供養
沙門は・・・
病を得たとしても、薬の力を借りず、医者の力も借りず、ただ正念をもって耐える。
2月15日は、涅槃会。お釈迦様のご命日。
彼は、布教のために歩き続けていた。
すでに80歳となっていた。
バーヴァーという村で、鍛冶職人チェンダの接待を受けた。
「チェンダよ。あなたの用意したきのこの料理をわたしにください。また用意された他の噛む食物・柔らかい食物を修行僧に上げてください。残ったきのこ料理は、それを穴に埋めなさい。世の中で、修行完成者のほかには、それを食して完全に消化し得る人を見出しません」
岩波文庫『ブッダ最後の旅』
結果、彼は腹痛と激しい下痢に襲われる事になる。
下血を繰り返し、衰弱しながらも、おそらく彼は、生まれ故郷を目指し歩き続け、
しかし・・・クシナガラの沙羅双樹のもとで、力尽きた。
以前、兄弟子が半身不随になりました。
熱と咳で、「風邪かな?」と思い、布団で寝ていたそうです。
しかし、トイレに立とうとした瞬間、立てない、動けない自分に気がついたそうです。
救急車で運ばれ、精密検査の結果、脳にわずか数ミリほどの影がありました。
原因はわかっても回復の手立てはなく、ただただ安静にという事でした。
35歳で在家から出家し、すでに50歳を前にしての出来事でした。
お寺を持つ道を選ばず、修行道場に身を置く彼は、何を想ったでしょう。
来し方、行く末を考えて、夜、泣き声を噛み殺した日もあるでしょう。
ある日、若かった私の不躾な問いかけに、彼は穏やかに応えてくれました。
「法慧さんも、苦しい時に念じてみるといい。チェンダ供養、チェンダ供養ってね。
毒きのこであると知りながら供養を受け、苦しさにのたうちまわる釈尊の姿を思い浮かべると・・・私の苦しみなど問題ではないよ。」
そして、半年後・・・お医者さんに「奇跡だ」と言わしめる事が起きました。
彼は自分の力で起き上がり、数歩、歩いたのです。
懸命なリハビリと厳しい自律の結果、彼はおよそ1年で退院しました。
今、彼は還俗をし、信じる所の道を歩んいます。
けれども、深いご縁のある大切な兄弟子であります。
チェンダ供養 チェンダ供養
MEMO
1、釈尊の入滅と葬儀の解説の仕方
北枕 頭北面西・末期の水・枕団子 涅槃団子・紙華 四華・通夜・納棺・葬列・散華・一本花・法炬 松明・引導
大閑道人
Posted at 12:10h, 12 2月SECRET: 0
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その兄弟子にとっては、特別な使命でもなんでもなく、自分のこと、日常底でしなければならないこと、目前にあるからしなければならないこと、なのでしょうが、
とても強烈です。
私は、若い頃に、小沢道雄師の講演を、顔前で拝聴しました。
先ごろ、聖徳太子ご開創のお寺のご住職の講演を拝聴しました。
どちらも同じ印象を持ちました。
特別な体験は、特別な使命を果たすため、と。
うらやましいような、そうして、
そういう特別な体験に見舞われない自分に、ホッとしたような・・・
余韻を引く、本日の「僧侶的いま・ここ」
慧
Posted at 17:57h, 12 2月SECRET: 0
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身心徒らに放捨することなかれ、人々悉く道器なり日々是れ好日なり 常済大師
事に大小なし、と受け止めおります。
Mana
Posted at 08:35h, 13 2月SECRET: 0
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「還俗をし、信じる所の道を歩んいる」どういう目的なのか、良く解りません。
しかし、私は、この兄弟子は「凄い」と言うことが解ります。
病にも勝つ気持ちの強さは、見習いたいと思いますが……。
私も、苦しい時や辛い時、頭に来た時や残念な時に、何か念じて見たいと思いますが、「チェンダ供養」は、恐れ多いので、何かいい念じる言葉はありませんでしょうか。
同郷の僧
Posted at 00:24h, 14 2月SECRET: 0
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法友の紹介で初めて訪問させていただきました。
同郷の僧でございます。
初めは挨拶程度にと思っていたのですが、いつの間にかどんどん引き込まれて結局殆どの法話を拝読いたしました。
活動の場は違えども、それぞれの法の発露がある訳ですね。
心励まされた次第です。
だいぶ昔に酒席に誘われながら、何やかんやで行けずじまいでした。
ご縁が熟したら、ぜひ一献交わしたいものです。
これからもたまに訪問させて頂きます。
慧
Posted at 09:26h, 15 2月SECRET: 0
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枠におさらない人はいるものです。
曹洞宗という枠に疑問を抱き、より良いと思う道を歩んでおられます。
念じる言葉ですが、私は延命十句観音経や地蔵真言を勧めております。そのお経を、次の記事で書きますね。
慧
Posted at 09:32h, 15 2月SECRET: 0
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どちら様かな?と、頭を抱えております。
管理者にだけ表示のコメントで、ご尊名をお教えいただきたく存じます。
法の発露って、いい言葉ですね。
坐禅に親しく、祖録に親しくありたいと思っております。
お酒に親しくするのは一考しろ、と、先日、医者に言われてしまいました。
同郷の僧
Posted at 11:58h, 16 2月SECRET: 0
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名乗るほどの者じゃあ、ありません(笑)
以前、せっかくお声をかけて頂いたのに、ばたばたしていて結局行けずじまいになってしまい、その事が心残りで名乗れなかっただけの不徳の僧でございます(笑)
それでも思い立ち、以前箱根の観音さまに懺謝の意味を込め橋渡し役をお願いしたのですが、結局その願賭けもタイミングが合いませんでした(汗)
いずれ故郷でお会いできるという甘えもあったせいでしょうか。
全く以て面目ありません。。。
あ、それとあまり頭を抱え込まないで下さい。せっかくの法話に支障をきたすと申し訳ありませんので(笑)
それにしても、心が洗われるような法話ですね。弁論大会の時とはまた違った法慧さんを見ることができましたm(__)m
ひろみつ
Posted at 13:11h, 16 2月SECRET: 0
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チェンダ供養の話は初めて知りました。
う~ん・・・・いろんなことを感じてしまって、うまくコメントできません。
でも、励まされる話だなとは思います。苦しい時に支えてくれる・・・そんな話ですね。
有難うございます。
白蓮華
Posted at 18:29h, 16 2月SECRET: 0
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「私の苦しみなど問題ない」
苦しみの真ん中にいると
自分だけが不幸だと思えます。
でも実は、そうではない…。
自分の「心ひとつ」だとの教えだとの
理解で良いのでしょうか?
心引き締まるお話です。
慧
Posted at 20:35h, 16 2月SECRET: 0
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最近は、とみに物忘れが激しくて・・・昔の事や都合の悪い事など忘れております。
ただいま、18日からの布教師養成所の課題の法話に取り組んでおります。
が・・・あなたのお名前が気になって・・・
慧
Posted at 20:37h, 16 2月SECRET: 0
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心の杖を持つ事も大切でしょう。
坐禅も心の杖のひとつであります。
慧
Posted at 20:39h, 16 2月SECRET: 0
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信仰や信心も、心の杖です。
兄弟子は、お釈迦様のご生涯を心の杖としておりました。