4月 15日 三つの化粧法

今日は、「三つの化粧法」というタイトルでお話させていただきます。
人間は誰しも、程度の差こそあれ、自分の顔に自信を持っているはずです。
なぜなら、このお顔やそのお顔をさらして生きているのですから、自信が無ければ、恥ずかしくて、外も歩けません。
私などは・・・全く、お話にも値しません。
チャームポイントという言葉もありますが、あっさりいえば、お気に入りの場所とでもいうのでしょうか。
例えば、お口元がとても可愛いとか、鼻の穴の開き具合が何とも素敵だとか、狐目なんだけれども愛嬌のある狐だとか、はっきり言えば、全体的にはバランスに欠けるけれども、その一点だけは、なんとか、人前に出せるというのが、チャームポイントなんでしょう。
人間、目、鼻、口と付いているものは、みんな同じなのに、全ての人の顔が違います。よく似ていたとしても、やはり、違いますね。
そして、人間は自分の顔だけは綺麗にしたがります。
部屋の掃除はしなくとも、部屋の片付けさえもしなくても、顔だけは、という方がおられますね。
何かを塗ったり、書き加えたりしたとしても、そんなに変わり映えするキャンパスでもないのに、それでも、お金と時間を費やします。
考えてみれば、化粧をするのは人間だけです。
いくら発情期であっても、犬や猫は自ら化粧をしませんよね。
最近では、男性が化粧する事もエステに通う事も珍しい事ではなく、塗ったり書いたり、まゆ毛や毛穴と大忙しのようです。整形手術して、俺は生まれ変わったと、その感性は尊敬いたします。
その反面、そんな化粧をする男性を「男のくせに」と、非難するタイプの人もいます。ですが、その非難されるタイプの人が、全く顔に無関心かというと、そうでもないようで・・・。
案外、このタイプの人には、例えば、顔を売るとか、顔が立つとか、顔を潰された、顔に泥を塗られたと、言う人が多いようですね。
そして、何か気に入らない事があると「おい兄ちゃん、そこまで、顔を貸せや」となる事もあります。
ちなみに、世の中には、面汚しだとか面の皮が厚いとかだとか、面当てに嫌味な事を言う人は、いっぱい、いっぱいいます。
アメリカの大統領であったリンカーンに、友人がある人物を推薦したのですが、リンカーンは断りました。その理由は、こうでした。
「彼の顔が気に入らないからだ」
「顔は生まれつきのものだから、そんな断り方はないじゃないか」
と、友人は怒ったのですが、リンカーンは
「男は４０にもなれば、自分の顔に責任を持つべきだ」
と、答えたそうです。
自分の顔に責任を持つとは、どういうことでしょうか？
こんな言葉がございます。
『思い内にあれば、色、外に現れる』
解り易く申せば、心の動きはそのまま顔に現れるという事でしょう。
もっと言えば、隠す事はできない、という事であります。
悲しい時には、やはり、沈んだ面持ちになりますし、怒れば怖い顔となってしまいます。楽しい時には、自然と笑みがこぼれてきますし、あまり、カネカネと言うと、不思議と卑しい顔つきになるといわれます。
古来より、こんなことも言われます。
忍ぶれど　色に出でにけり　わが恋は
ものや思ふと　人の問ふまで
つまり、貴方に恋をして言い出せなくて、辛い。そうしていると、周りの人たちが、「最近、元気がありませんね。いかが、いたしましたか？」と、言ってくる。自分では、周りに気付かれる事なく、隠しているつもりなんだけれども、それが、いつの間にか、現れてしまっているものだなぁ、という意味なんですが。
皆さんもこんな体験をされた事があるのではないでしょうか？
『思い内にあれば、色、外に現れる』とは、例えば、秘密とか秘め事、隠しているつもりであっても、実は、隠している姿が現れている。
あなたの中に、その思いがあるのならば、その願いがあるのならば、それを人に言わなくとも、自ずと現われている。
そして、それが一番現れやすいのが、顔です。
見る人が見れば、顔を見るだけでわかってしまう。
怖ろしい事ではありますが、リンカーンが「顔が気に入らない」と断ったのも、そういう事なのでしょう。
そして、一言、付け加えさせていただくなら、顔でなくても、声や態度。
そこに、あなたが全部現れているものですよ。
今日、皆さんに顔を良くする方法は、決して、化粧だけではない事がお解かりいただけたと思います。そこで、塗ったり書いたりせずに、顔がもっとよくなる３つの方法を提案しておきますね。
まず、1番目。思いを正しくする事。
少なくとも、自分の抱く思いが、人の道に照らして恥ずかしくないか、という自省の思い。正しい思いがあれば、凛とした姿が現れてくるものです。
２番目は、姿勢を正す事。
ポイントは腰骨を立てることです。腰骨を立てれば、自然と呼吸が変わります。腹式の呼吸となってきます。深い呼吸が身につけば、そこには、落ち着きのある姿が現れてきます。
人間の最も卑しく怖ろしい相、それは怒りです。それを、腹式の呼吸で断ち切るのです。
３番目は、鏡を見る事。
これは、皆さん、毎日している事でしょう。『葉隠』という武士道の心得の本がありますが、その中に人相をよくする秘法として、毎日、鏡を見なさいと書いてあります。
ひょっとすると、今、皆さんがある程度いい人相であるのは、毎日、鏡を見ているおかげかもしれませんね。どうぞ、お続け下さい。
思いを正しくする事。姿勢を正す事。鏡を見る事。
この３つを、皆さんに心のお化粧法として提案します。
元手も、月々の支払いも必要ありませんね。そして、今からできます。
あなたがいいお顔となって、優しく微笑み、人におだやかな言葉をかけてあげられる人となる事が、ひいては、あなたの周りの人たちを活かしこの世の中も明るくなる事でしょう。
どうぞ、いいお顔となりますように。
毎日、お化粧して下さい。