2月 06日 時の音

最近、お会いしたお二人です。
【一人目】
大きなお寺のご住職。大切なものは、大きな伽藍。
不惑の４０代。ゴルフも、まだまだ、伸び盛り、との事。
奥様は、テニスとお茶に励み、ご子息は、宗門の学校に入れた、とご自慢。
得意顔して人生を語るおせっかい・・・
そこには、善人面して名誉欲が透けて見える。
・・・いい人自慢の、いい人ごっこ。
物分りのよさそうな顔して、わからず屋
人当たりのよさそうな面構えで、大うそつき。

考え抜いたふりして、借り物の言葉。
難しく言うふりして、言葉に思念が追いつかない。
都合、３０分位でお別れしました・・・限界。
別れ際に、こう、言われました。
「ブログ読んだけど、お寺の寺報にそのまま載せてもいいかな？」
さすがに、どうぞ、とは、言えませんでした。
自分でお考え遊ばせ、世間知らずの老師さま。
【二人目】
ある葬儀社の社員さんの話。
４５歳で転職されて、葬儀社に勤め始めて３年になる方でした。
奥様は、看護師。ご子息は、高校２年生との事。
以前は、某食品のメーカーで営業をされていたそうです。
彼は、話してくれました。
転職のきっかけは、祖父の葬儀でした。
葬儀社の担当の方が、とてもいい方で、何といえばいいのでしょうか、
残された遺族のために、それは、それは一生懸命に動いてくれたんです。
担当の方にとって、それが、仕事なんでしょうけど・・・
年甲斐も無く、そのことに感動いたしまして・・・
ああ、こんな仕事もあるんだな、と。
大げさに聞こえるかも知れませんが、
ああ、こんな、生き方もあるんだなって、はじめて、気付きました。
転職というのは、家族の理解が必要です。
妻子に、葬儀社に勤めたいと、伝えてからが、大変でした。
息子は多感な時期でした。
なぜ、葬儀社なのか、と、そう尋ねてきました
やはり、あまり、いいイメージを持ってなかったみたいで。
妻は仕事柄、人の死に顔というものを、たくさん見ていました。
私に人が死ぬという事は、決して綺麗ごとでない、と、何度も語りました。
最終的に、私は転職しました。
転職して良かったのか、悪かったのか、それは、わかりません。
なんにでも、良い所と良くない所がありますからね。
仕事は、それは、きついですね。
でも、あの時の判断は、間違ってなかった、と信じてます。
現実のこの暮らしは・・・
何よりも強くあるべきだ。
何よりも逞しくあるべきだ。
時は、万人の中を、等しく通過する。
おのが耳で聞き取れぬほどの凄まじい轟音をたてながら・・・
ひとの生を
うくるはかたく
やがて死すべきものの
いま生命あるはありがたし
正法を
耳にするはかたく
諸仏の
世に出づるも
ありがたし
（法句経１８２番　－友松圓諦訳）