10月 19日 風と落ち葉
出家して間もない頃の秋の黄昏時でした。
あるお寺の前で托鉢をしていた時、ふと、目に留まった伝道掲示板に、良寛さんの詩が書いてありました。
焚くほどは 風が持てくる 落ち葉かな
これを見たとき、なんとも言いようのない感動と深い喜びを得ました。
なんだ、これで良かったんだ、と。
落ち葉を持ってきたのは風です。
足りないからと多くを求めても、枯葉にも限りがあります。
いらないからとそっぽをむいても、あるだけは、与えられます。
足りないからと、欲を起こせば苦になります。
しかし、今、焚くだけはあるのです。
焚くだけはある、という信念。
いらないからと、逃げても逃げられません。
受けるべきものは、受け止めなくてはならないのです。
風を素直に受け入れる、という覚悟。
風が持ってきたのは落ち葉です。
落ち葉を焚いて湯を沸かしたり、煮炊きしたり、堆肥を作ったり。
人それぞれに、落ち葉の用い方は異なるでしょう。
その用い方に、その人の境涯が現れてくるものです。
風をどう受け止めるか?
落ち葉をどう用いるか?
清秋の好時節になり、この句を思い起こします。
しょーえん
Posted at 01:29h, 20 10月SECRET: 0
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いつもコメントありがとうございます。
素直に入ってくる文章に
感動しました。
自然に逆らわず
ありのままの姿を見つめた詩
現代にこそ思い出して
足を止めてみたいものです。
後藤 かおり
Posted at 15:32h, 20 10月SECRET: 1
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ガチガチに凝り固まった肩の力を抜いて、今手の中にあるものを愛しんでみようと思いました。
ありがとうございました。