2月 16日 涅槃会

２月１５日は、お釈迦様が入滅＜にゅうめつ＞された日、つまり、お亡くなりになられた日です。
お釈迦様が入滅に臨んで、垂れられた最後の説法だと伝えられているお経、『佛垂般涅槃略説教誡経』(佛遺教経)があります。
このお経には、戒の大切さ、及び、わがままな欲望のみの暮らしは、実は、苦でしかない、と示されています。
そして、八大人覚＜はちだいにんがく＞、大人として覚るべき八つの事、無求、知足、遠離、精進、不妄念、禅定，智慧、不戯論を説き、その教えを実行する事の大切さを強調されています。
頭で理解するだけではなく、実践こそが大切なんだ、と。
この世の在り方は無常であり、移り変わっていくものだけれども・・・
それは、悲しむべき事ではなく、実は、ありがたいの事なんだと、と。
なぜなら、無常であるからこそ、人として成長ができ、仏の教えに出会い、真実を知り得る事ができるのだ、と。
そして、ものの見方こそが、佛法であり、そのものの見方を正しく理解し、実践し、伝えていく時、そこに、お釈迦様が現前しているのだ、と。
真実のいのちは、決してなくならないのだ、と。
このお経は、禅門では、枕経や通夜にも諷誦されるお経のひとつです。
寒さと暑さ
飢えと渇えと
風と太陽の熱と
虻と蛇と
これらすべてのものに
うち勝って
犀＜さい＞の角＜つの＞のように
ただ独り歩め

『ブッダの言葉』　中村　元　訳

犀の角は、ひとつしかありません。
他の人からの毀誉褒貶に煩わされること無く、真っ直ぐに、佛の道を。

【原文】『佛垂般涅槃略説教誡経』(佛遺教経)の一部分
我れは良医の病を知って薬を説くが如し、服すと服せざるとは医の咎に非らず。
又た善く導くものの、人を善導に導くが如し、之を聞いて行かざるは、導くものの過に非らず。
【意訳】
私＜お釈迦様のこと＞は名医が病気を診断して、薬を処方するようなものです。その薬を服用するか、否かは医者の責任ではありません。
あるいは、道案内する人が、人を正しい方向に導くようなものです。
その案内を聞いても行かないのは、道案内する人の罪ではありません。
いつの時代にも、愚かな人もいるようで・・・憐れむべき人。
拙い経験をもってでっちあげた邪まな見解を　唯一、絶対だと信じる人。
馬齢を積み重ねた結果、狭い世界の中で、己が一番偉くなった人。
頭はいい人なんでしょうけど？・・・悲しい人。
主義主張はあったとしても、人の話を聞ける許容・・・
素直な心、柔軟な心、受け入れる心を失わずにいたいと思います。
因という名の種だけは撒いて・・・
あとは、縁の華が、いつか、開く事を念じて・・・得度の因縁を作す。