大童法慧 | 夏に
何かを得ようとするのではなく 何かを捨ててみよう
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7月 21日 夏に

うだるような暑さが続くと、なぜだか、思い浮かんでくる詩があります。
昭和54年、青年医師井村和清さんが32歳で癌を患い亡くなりました。
彼には、1歳半の長女飛鳥ちゃんと、2人目の子供を身ごもった妻がいました。
亡くなる直前、最後の正月に残した詩です。
「あたりまえ」 井村和清
あたりまえ
こんな素晴らしい事をみんなは何故、喜ばないのでしょう
あたりまえである事を
お父さんがいる
お母さんがいる
手が2本あって、足が2本ある
行きたい所へ自分で歩いてゆける
手を伸ばせば何でもとれる
音が聞こえて声がでる
こんな幸せはあるでしょうか
しかし誰もそれを喜ばない
あたりまえだと笑って済ます
食事が食べられる
夜になると、ちゃんと眠れ、そして又朝が来る
空気を胸いっぱいに吸える
笑える、泣ける、叫ぶ事ができる
走りまわれる
みんな、あたりまえのこと
こんな、素晴らしい事を、みんなは決して喜ばない
そのありがたさを知っているのは
それを無くした人達だけ
何故でしょう
あたりまえ
和清
今夜も、また熱帯夜。 どうぞ、ご自愛を。


MEMO
1、井村和清 『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』
2、時所位量


13 個のコメントがあります
  • D.S.
    Posted at 00:20h, 22 7月 返信

    SECRET: 0
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    今まで「当たり前」のようにコメントしていました。
    逢えなくても意思の疎通が可能な世の中・・・感謝しなければなりませんね。

  • 陽菜
    Posted at 01:48h, 22 7月 返信

    SECRET: 1
    PASS: 2d9f2d2e71d3d0a7bb007304ccf4c891
    こんばんは。
    私の義理の姉は、とても優しくステキな人で、典型的な「薩摩おこじょ(女性)」。
    私の数百倍、働き者の人でした。
    私はこの義姉が大好きで、実は主人と結婚することにしたのですが(笑)。
    私が彼女を知った時、彼女は30代後半でしたが、膠原病で20歳ごろから亡くなる44歳までの間、その半分は入院生活でした。
    ステロイドの服薬で、少しずつ臓器が壊れ、血液透析も余儀なくされ、最後は腸壁が破れて膣から汚物が出るほどの熾烈な闘病生活でしたが、最後まで明るく闊達な義姉でした。
    葬儀には看護婦さんが数名、泣きながら参列して下さったくらい、義姉の人柄は皆に愛されていました。
    ここ1年くらい、更年期なんでしょうか、欝な時期が長くなってしまい、些細なことがまるで針に刺されたように辛く惨めに感じることが多いです。
    ヘソ曲がりなのでブログには億尾にも出していませんが。
    義姉が亡くなってから、もう14年になります。
    今日の記事を読ませていただくまで、義姉の記憶が薄れていたような気がします。
    お墓参りには行っていましたが、どんなに義姉が辛い闘病生活を送っていたか、それでも何としてでも1分1秒でも長く生きていたいと願っていたか、、、忘れていました。
    今の私のちっぽけな痛みなど、笑ってしまえるくらいですね。
    「あたりまえ」に日常を送れる幸せ。
    もう1回、義姉のことも噛みしめて、感謝したいと思いました。
    すみません。コメントというよりは、自分の気持ちのコトだけを書き殴ってしまいました。
    膠原病の方がご覧になることもあるかもしれませんので、非公開で投稿させていただきますね。

  • きよみ
    Posted at 07:05h, 22 7月 返信

    SECRET: 0
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    そのお話、覚えています。 本を読んだことがあります。 テレビでもドラマ化されましたよね。 
    本当にその詩のとおりですよね。 
    この医師の方は、ご自分の病気を知り、奥様と幼いお子さんが寂しくないよう、もう一人お子さんを望まれ、そして授かったということですね。 ネットで検索してみましたら、彼がお子さん宛に書かれた文が見つかりました。 
    本を読んだ当時は、私はまだ中学生だったのですが、今またこうして読み返してみると、当時は理解できなかった彼の無念さ、哀しみ、そして強さが感じられるように思います。 久しぶりによいお話を思い出すことができました。 ありがとうございます。

  • Posted at 20:35h, 22 7月 返信

    SECRET: 0
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    そろそろ、正体を明かしていただければ、ありがたいですねぇ。随喜するにも、勘ぐってしまいます。

  • Posted at 20:47h, 22 7月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >当時は理解できなかった
    幼い頃に、気づく事ができなかったものに気づく事は、「生きてきてよかった」と感じる瞬間のひとつでもあります。
    人生に深く深く、親しく親しくありたいものです。

  • そよ風君
    Posted at 14:37h, 23 7月 返信

    SECRET: 0
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    娘がしばらくジャカルタに駐在していました。安全のため、日本人は駐在規則で、自家用タクシーで街中を移動しなければなりません。安全と現地の雇用促進の両面があります。そして日本に帰ってきて、電車で出歩ける自由を回復、歩いているだけで楽しいと言っていましたが、1年を経過すると、あそこは遠いなどと言っております。慣性の中にずぶずぶ沈んでいるのに気づかないところが、普通の人間ですね。

  • Posted at 18:17h, 24 7月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    そう、忘れられるからこそ、生きていくことができる。
    >慣性の中にずぶずぶ沈んでいる
    そのずぶずぶ加減にヒントがあるのかもしれませんね。
    ジャカルタと聞いて・・・数年前、ボロブドゥールに行ったことを思い出しました。象の背中に乗って、気持ち悪くなった事も。

  • 岳さん
    Posted at 20:11h, 25 7月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 48a0716e558046340ef2f93b57cf7fe3
    20年以上前に父を、10年以上前に母を亡くしたのですが、共に、病院で亡くなりました。
    なぜか、その様子を思い出します。
    ベッドの上に至る過程もあるのですが、ベッドの上で、息子を、孫たちを、どう見ていたのか?思っていたのか?どう夜を過ごしていたのか?ベッドに独りのとき、何を見ていたのか?
    幾度となく通った病院の姿は今は変わり果てたものの、その当時のことは、病院の建物、病室や廊下など映像として記憶にあります。
    まるで、見えない喪服を着ているようにです。
    ”それを無くした人だけ”とベッドの上に過ごす父や母の姿を思い出します。
    そのときの慈しみが自分にどれだけあったのだろうかとです。

  • エイミ
    Posted at 06:34h, 26 7月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんにちは。またすばらしいお話ありがとうございます。身の引きしまる思いです。岳さんのお話を読みふと思いました。看護婦として働き、自分は患者さんの立場で物を考えたことのあるのだろうか?と。自分の健康、歩けること、走れること、働けることなどなどに対して感謝の気持ちもなくただただ生活している自分を見直そうと。またまだ未熟な看護婦です。 今日も少しだけ患者さんにやさしくできますように。

  • Posted at 12:52h, 28 7月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >そのときの慈しみが自分にどれだけあったのだろうか
    とても切なる問いかけです。
    常に懺悔と願を持ち続ける事を怖れずにいたいものです。
    ・・・週に一度の更新さえも、ままならぬ有様です。

  • Posted at 12:55h, 28 7月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    今日も少しだけ、明日も少しだけ。
    無理せずに少しだけ、自然と少しだけ。
    少しだけが、ちょうどいいなって思います。

  • taturo
    Posted at 21:41h, 01 8月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    「あたりまえ」でいることが、どんなにどんなに幸せか、わかっていてもよく忘れます。忘れることは人間の能力ですが、よい話は間おいて何度も読み直したいものです。

  • Posted at 09:27h, 03 8月 返信

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    座右の書を持つ事は、大切ですね。
    繰り返し繰り返し、何度も触れる。
    その度に、発見があります。

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