1月 15日 日々是好日

ある時、雲門大師が、お弟子たちに向かって言いました。
「これまでのことは尋ねまい。
しかし、これからの生活の中で、何が一番大切な事なのか、一句をもって来い」
お弟子たちの顔を見渡しましたが、誰一人として、応える者はありませんでした。・・・そこで、雲門大師、たった一言、言い放ちました。
｢日々是好日｣
日々是好日という言葉は、聞きなれた禅語のひとつでしょう。
毎日毎日が好き日であるとか、人生は心がけひとつでなんとかなるとか、毎日を感謝して生きましょうとか、等に理解されているようです。
この好日の｢好｣とは、好きや嫌い、好いや悪いを超越した｢好｣だから・・・
｢ものの優劣に囚われたりしません｣｢是か非かを問いません｣「損得勘定で動きません」「分別をしません」と、覚悟しなければならないと教える先生もいます。
また、好を「よし」と読ませて・・・
「試験は落ちたけれど、よし、不合格なにするものぞ！」
「彼女と別れたけれど、よし、もっといい女と巡り合うぞ！」と、上手い事を言う人もおります。
では、あなたは・・・
今日、検診で癌を告知されても、好き日であると、受け止められますか？
今日、金策尽きて、不渡りをだしても、人生は心がけひとつと、前を向けますか？
今日、最愛の我が子が、事故に巻き込まれたとしても、感謝していただけますか？
・・・それでも、日々是好日。
泣いても、嘆いても、呻いても、もがいても、苦しんでも、日々是好日。
この世は、無常であります。私たちの命も、また、無常であります。
私たちは、この遷り変る命を生きている。
だからこそ・・・日々是好日。突き詰めれば、好日とは、いま・ここの事。
毎日は新しい。
そう、毎日は新しいのだ。
いや、時々刻々と、私たちは新しいいのちを生きている。

MEMO
１、挙す。雲門垂語して云く、十五日以前は汝に問わず、十五日已後、一句を道いもち来れ。 自ら代って云く、日日是好日 。 『碧巌録』　第六則　本則
２、災難に逢う時節には災難に逢うがよく候、死ぬ時節には死ぬがよく候　　良寛
３、一瞬の前は過去であり、一瞬の後は未来である。ならば現世なるものの長さなどどれほどのものか。にもかかわらず、世の人がほんのしばらくの苦に耐えることができず、苦労したがゆえに得られる久しき楽を失うのはどういうことだろう　　吉田松陰