3月 20日 満月の夜の坐禅会　２月２７日講話

それでは、言の葉をご覧ください。
その1番を声に出しましょう。
私が先導いたしますので、それに続いて読んでください。

１、    体の中に

光を持とう
どんなことが起こっても
どんな苦しみのなかにあっても
光を消さないでゆこう　　坂村真民

手放す　受け取る　調える

ありがとうございます。
つい先日、とても悲しい葬儀をしました。
故人は、60歳になったばかりの女性です。
その女性は、ご主人と長男さんとの三人暮らし。

朝5時に、ご主人と奥様が起きて、身支度や朝食を済ませて、6時過ぎにご主人が出勤されました。
奥様は家の片付けやパートに出かける準備をしていたのでしょう。

朝7時に長男が起きて、朝食をたべようとキッチンに向かいました。
そこで彼が目にしたのは、倒れている母親でした。

すぐに救急車を呼び、病院へ。長男さんも一緒に行きました。
が、しかし、病院に着く頃には、こときれていたというのです。

ご主人も病院にかけつけて、医師が告げた言葉は、｢死因は急性大動脈解離だと思います｣でした。

いつもの朝が激変してしまうのですね。
ご主人も、長男も、｢死因は急性大動脈解離だと思います｣では片付けられないのです。

結果、葬儀は一週間ほど置いて、することにいたしました。
というのも、やはり、ご主人も長男も、心の整理がつかない。

でも、そうですよね。その事実を受け取るには、あまりにつらい。
奥様の体調は、どこも異変はなかった。服薬もしていなかった。
喫煙はしないし、お酒もほどほどだった。
いや、むしろ健康を気遣い、ジムにも通っていたそうです。

ご主人にしてみれば、ついさっき、一緒に朝食を食べた。
長男にしてみれば、ついさっき、母親の作った朝食を食べようとした。
いつもの朝の光景です。それが、文字通り、一変した。

大切な人の死というのは、何もかも奪い去るような激しさがあります。

けれども、共に覚えておきたいことがあるのです。
それは、
人生には、深い悲しみを通してしか学べないことがあるのだ、と。
人生には、深い悲しみを通してしか学べないことがあるのです。

だから、人生は悲しいだけではない。
だから、人生はつまらなものでもない。
このことをしっかり心に銘じて置きたいと思います。

さて、今日は、小さな参禅者がいらっしゃるので、紹介したいものがあります。
それは、長年、私が温め続けている絵本のテキストです。
死別をテーマにした、絵本を作りたい。それが、ここ数年の私の夢です。

テキストというのは、文章のみのものです。
絵を描く事は私にはできませんが、知り合いの出版社に持ち込んだり、コンテストに応募したりしているのですが、なかなか実現しません。でも、諦めずに挑戦しております。

それを今日は皆さんにお聞きいただきます。

『いつも いつでも いつまでも』　　　　　　だいどうほうえ

(本文　略)

ありがとうございます。
それぞれに響くものがあれば、嬉しく思います。

最後に、言の葉2を声に出しましょう。

二度とない人生だから　　坂村真民

二度とない人生だから
一輪の花にも　無限の愛をそそいでゆこう
一羽の鳥の声にも　無心の耳をかたむけてゆこう

二度とない人生だから
一匹のこおろぎでも　ふみころさないようにこころしてゆこう
どんなにかよろこぶことだろう

二度とない人生だから
一ぺんでも多く便りをしよう
返事はかならず　書くことにしよう

二度とない人生だから
まず一番身近な者たちに
できるだけのことをしよう
貧しいけれど　こころ豊かに接してゆこう

二度とない人生だから
つゆくさのつゆにも　めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめてみつめてゆこう

二度とない人生だから
のぼる日しづむ日　まるい月かけてゆく月
四季それぞれの星々の光にふれて
わがこころをあらいきよめてゆこう

二度とない人生だから
戦争のない世の　実現に努力し
そういう詩を　一編でも多く作ってゆこう

わたしが死んだら
あとをついでくれる
若い人たちのために
この大願を　書きつづけてゆこう

ありがとうございます。
二度とない人生なのだ、と心に定めたならば、生きる事の意味が明らかになってきます。
それぞれのお立場、それぞれの場所で、また、はじめていきましょう。

【普回向】