大童法慧 | 満月の夜の坐禅会1月21日講話 冒頭部
何かを得ようとするのではなく 何かを捨ててみよう
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2月 02日 満月の夜の坐禅会1月21日講話 冒頭部

それでは、言の葉をご覧ください。
その、1番を、まず、声に出しましょう。
私が先導いたしますので、それに続いて読んでください。

 

1、体の中に
光を持とう
どんなことが起こっても
どんな苦しみのなかにあっても
光を消さないでゆこう  坂村真民

 

手放す 受け取る 調える

 

ありがとうございます。平成31年のはじめての、満月の夜の坐禅会です。
本年もよろしくお願い申し上げます。

 

言の葉2をご覧ください。
これは、岩波書店「ブッダの真理のことば・感興のことば」中村元著にあるものです。お釈迦さまが遺された教えを、年の初めにまず味わいましょう。
声に出しますから、それに続いてください。

 

110、素行が悪く、心が乱れていて百年生きるよりは、徳行あり思い静かな人が一日生きるほうがすぐれている。
111、愚かに迷い、心の乱れている人が百年生きるよりは、知慧あり思い静かな人が一日生きるほうがすぐれている。
112、怠りなまけて、気力もなく百年生きるよりは、堅固につとめ励んで一日生きるほうがすぐれている。
113、物事が興りまた消え失せることわりを見ないで百年生きるよりも、事物が興りまた消え失せることわりを見て一日生きることのほうがすぐれている。
114、不死の境地を見ないで百年生きるよりも、不死の境地を見て一日生きることのほうがすぐれている。
115、最上の真理を見ないで百年生きるよりも、最上の真理を見て一日生きるほうがすぐれている。

 

 

ありがとうございます。
114以外は、およそ理解ができると思います。
114の不死の境地については、言の葉3をご覧ください。
声に出しましょう。

 

つとめ励むのは不死の境地である。
怠りなまけるのは死の境涯である。

 

これもお釈迦さまの言葉ですが、不死の境地はつとめ励むことだと仰っています。何を務め励むのかというと、115の最上の真理を求めてつとめはげむのです。いや、もっと正しく言うならば、最上の真理をつとめはげむ。

 

言の葉2にあります110から115番、とてもすごい教えだとおもうのです。
つまり、百年生きることよりも大切なことがあるんだと。
楽しく、明るく、長生きすることよりも、苦しいかもしれないけれども、時に辛いことかもしれないけれども、人間に生まれてきたからには、本気になって求めなければならないことがあるんだ、とお釈迦さまはお示しなのです。

 

このお釈迦さまの想いを聴くと、皆さんは、もしかしたら「俺には無理、私には関係ない」と思われたかもしれませんが、実は、皆さんも、もう既に、この世には最上の真理があるんだと薄々気づかれていると思うのです。

 

なぜならば、寒いのに、忙しいのに、仕事も家庭もあるのに、趣味や楽しいテレビもあるのに、お酒だって飲めるのにも関わらず、今日、こうして、坐禅会に来られてらっしゃいます。

 

特に初めての方には、ここに来るのは、とても勇気が要ったことだと思います。
誰かに命じられたわけでもなく、別に行かなければならないものでもありません。また、坐禅会に行ったからとてポイントが付くわけでも、何かもらえるわけでもありません。
けれども、月に一度は、なにもかも手放して、そして、すべてを受け取って、自分を調える時間をお持ちになっているのが、皆さんなのです。

 

今は、まだはっきりとはわからないかもしれませんが、その営みこそが、お釈迦さまの仰る、「百年生きるよりも」に適っているのです。だからこそ、この営みを深めていくのです。

 

最上の真理は、書物の中や大学の研究室にあるのはありません。
最上の真理は、お釈迦さまの生きた時代やインドだけにあるのでもありません。

 

じゃあ、最上の真理は、どこにあるのでしょうか。
それは、いつも「今・ここ」にあり、この私にあるのだと想いを定めたいのです。

 

もしかしたら、あなたにとっては、お辛い「今・ここ」かもしれません。もしかしたら、あなたにとっては、今の自分のことが嫌いなのかもしれません。
けれども、そうであったとしても、最上の真理は、私たちとともにあるのです。

 

 


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