4月 02日 スピリチュアルケアについての小さな省察
人間はスピリチュアルペインを持ち得る存在であるといえる。生死の痛みや疼きは、生き辛さやどうにもならない困難と出会ったり、病や死を突き付けられたり、罪の意識や自責の念に苛まれたり、価値観や死生観が揺らいだりと個々人で異なるものである。
Death is not medical issue, but human issue.この「human issue」にから目を背けない態度が「スピリチュアルケア」であるといえよう。だから、「スピリチュアルケア」は、何かを治すことが目的ではない。その人の苦しみを取り除こうとしたり、説明をしようとしたり、理解したりすることですらなく、少しでも光のある方向に向かうことを祈りながら、その人の傍らにいて耳を傾けることである。そして、自己と他者には根源的な隔たりがあり、また、人生には誰も答えることが出来ない問いがあることを承知したうえで、それでも尚、そこに止まるのである。そのためには、まず自己と他者に対する「信頼と尊敬」がなければならない。
この姿勢は自己を差し出すことであり、その人と抜き差しならぬ関係を生む。そこで発せられた「支持・明確化・対峙」の言葉や頷きや沈黙、その人と過ごす時間や空間のはたらきなどによって、ビリーフの再構築がもたらされたり、生の意味を再発見するようなダイナミックな力が現れたりもする。それは、苦しみに呻吟する「今・ここ」であったとしても、人生を投げ出すのではなく、「それでも生きていく」視座と勇気を得る大きな出来事となるのである。
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